お役立ち

【お役立ち】残業の9割はいらない(本間浩輔著)[本の読書レビュー]

どうも、プラ子です。Web系の事業企業で働いています。

知り合いがよかったと言っていた本残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方(本間浩輔著)」が、気になったので読んでみました。

ここでは、「残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方」について重要だと感じた部分をまとめ、最後に感想を書いています。

※ネタバレを含む内容になりますのでご注意ください。

記事の目次

  1. 「残業の9割はいらない」とは?誰向けの本?
  2. 部下を「頑張った」ではなく「成果」で評価
  3. 生産性を上げるのは、トップが描く戦略次第
  4. 感想

1.「残業の9割はいらない」とは?誰向けの本?

本書「残業の9割はいらない」は、ヤフーの常務執行役員・コーポレートグループ長の本間浩輔氏が綴る「企業が勝つため」「社員が幸せになるため」の働き方改革論。注意すべきは、「残業の減らし方」を解説するというものではないということです。

「時間」「頑張り」ではなく、「成果主義」にもとづいた働き方を提示する内容となっています。

▼誰向けの本?

組織で働く人間(とくに経営者、人事、マネージャー層)

「組織で働く人間」というとざっくり過ぎますね…。読んでいて思ったのは、平社員(一般社員)向けの内容ではなく、部下をもつ人向けの内容であるということ。

本書「残業の9割はいらない」では、「成果主義」の働き方改革のために、役割別にすべきことを書いています。

▼「成果主義」の働き方改革 役割別にすべきこと

経営者層
長期的な利益につながる戦略を描いてリソースを効率的に配分しつつ、組織の構造改革を進める。

人事
自社に合った働き方改革の先頭に立つとともに成果主義を徹底する。

マネージャー層
部下の仕事ぶりをよく把握して管理職としての役割を果たす。

一人ひとりの社員
自律してアウトカムを出すことに専念する。

→本書「残業の9割はいらない」では、このような動きによって「成果主義」が実現すれば、残業は今より大幅に少なくなるはず、と述べています。

2.部下を「頑張った」ではなく「成果」で評価

「企業が勝つため」「社員が幸せになるため」の働き方改革の諸問題について、かなりページを割いて解説しています。そして、部下をもつ人に向けていくつか質問を投げかけています。

▼部下をもつ人への質問例

・成果主義は機能していますか?
・あなたは部下を正確に評価していますか?
・成果ではなく貢献で評価していませんか?(企業にとっての成果ではなく、部下→自分への貢献)
・そもそも部下の「成果」とは何か、理解していますか?
・「あいつは頑張っている」は評価に値しますか? など

部下の「成果」とは何かを定義し、正確に評価することで、成果主義を機能させることが大事だとしています。

そもそも部下の「成果」とは何か、理解していますか?

質問のひとつ「そもそも部下の「成果」とは何か、理解していますか?」はとくに肝なのではないかと思いました。

というのも、本書「残業の9割はいらない」にもある通り、日本企業は社員の「アウトカム(成果)」で評価すると言いつつ、時間などの「インプット」で評価する傾向にあります。個々のポジションの職務が定められていなく(※)、社員の仕事範囲があいまいで成果がはっきりと定義されていないためです。

※米国の企業の多くでは、「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」に、具体的な職務内容、職務の目標・目的、責任や権限の範囲、そのポジションが有する社内外の関係先、必要とされる知識や技術、資格、経験、学歴などが克明に記されます、そのため、社員評価はしやすい傾向にあります。

日本企業の成果の定義のあいまいさが、目標管理制度(MBO)を機能しづらくしており、儀式化(形骸化)してしまっている要因のひとつだと述べていました。

3.生産性を上げるのは、トップが描く戦略次第

本書「残業の9割はいらない」は、「残業の減らし方」を解説するというものではなく、「成果主義」にもとづいた働き方を提示する内容であり、「経営者、人事、マネージャー層」に向けて書いています。

「企業が勝つため」に労働生産性を上げるには、経営者が正しい戦略を描くのが重要とし、「社員がどんな事業でどのように働いてもらうかを考え、決めるのが経営者の仕事」だと述べています。それが十分にできていないのに、社員に向かって「残業を減らせ」と指示するのは見当違いだと明言しています。

▼生産性を上げるために、役割別にすべきこと

経営者は人事に関心を持ち、企業の人事担当者はデータとファクトにもとづく「人事制度の抜本的改革」をすべきとしています。最後に、マネージャーに対しては「ミッションを知りプレイングマネージャーに逃げない」ように説き、一人ひとりの社員に対しては「効率よく働き成果を出す」よう説いています。

4.感想

本書「残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方(本間浩輔著)」は、「経営者、人事、マネージャー層」寄りの内容だったため、自分のような一般社員では、理屈として理解できても、実践はできないような内容も含まれました。

ですが、抽象的・概念的な説明で終わらず、実例が多々出てきたため、面白く読むことができました。

▼タメになった話

最後の章「三〇年後、私たちはどう働くか」に、(所得格差が広がっていく世の中では)腹をくくり学び続け、順応していくことが必要だと書いています。

個人的によいと思ったのは、「学び方」について言及されていたことです。

著者は「将来に備えて知識やスキルを身につける」のではなく、「今必要な知識やスキルを一気に身につける」学びがいいとしていました。「学ぶ」というと抽象的で、なにをどうしたら…と思ってしまいがちですが、「今必要な知識、スキルを都度学ぶ」というのは非常にわかりやすいと思いました。